ぽりあねすぶろぐ

ポリアネスと夜ごパン(仮)

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【ネタバレ感想】楽しみとしての悪趣味 その1:「ニューダンガンロンパV3」

※注意

今回はネタバレ全開でいきます。

これからプレイする予定のある方はくれぐれもお気をつけください。

 

 

 

 

チュンソフ党。

 

このゲームをクリアして、僕の頭の中に、真っ先に浮かんだ言葉である。

 

SFCで発売されたホラーノベルゲームの金字塔、「かまいたちの夜」に登場するワードである。プレイしたことがなくとも、「かまいたち」に触れたことのある人なら、知らない方が珍しいだろう。今回の記事の本題とは異なるため、こちらのネタバレ説明は控えておくが、気になる人は検索してみるといいかと。

 

かまいたちの夜

かまいたちの夜

 

 

 

何が言いたいかというと、このような仕掛けが施された「かまいたちの夜」を作ったチュンソフトが、スパイクチュンソフトとなり、この「ダンガンロンパV3」を作ったことに深く納得した、ということである。「悪趣味さ」を突き詰めるという点において、ある種の血統のようなものを感じたのだ。ジョースター家かな?

 

このゲームは、基本的には魅力的で個性的すぎるキャラクター、牽引力のあるストーリー、密閉空間の中で繰り広げられる人間ドラマが楽しめる名シリーズである。特に今作は、今までやや弱かった本格ミステリーとしての推理のレベルも相当高まっている。大胆かつ緻密な物理トリック、解釈によって二転も三転もする不可解状況設定……。推理の過程も申し分なく、講談社文庫をほっぽり出してまで、夢中でプレイしてしまったくらいだ。エンドクレジットでトリック考案が「城」シリーズの北山猛邦だと初めて知って、こちらも深く納得したものである。

 

というわけで、各章のトリックを褒めちぎりたくてたまらないので、そうしようと思う。僕はそのためにネタバレを使うんだ!(cv.林原めぐみ

 

↓↓↓以下、ネタバレあり↓↓↓

 

 

 

 

 

 

◯第1章。

「超高校級の???」である天海蘭太郎が被害者。主人公の「超高校級のピアニスト」赤松楓は、「超高校級の探偵」最原終一と捜査を行う。

ダンガンロンパシリーズは、基本的に主人公の一人称視点で話が進む。当然、今作もプレイヤー最初から赤松楓の視点に身を委ねることになる。彼女が最初の殺人犯とも知らずに。

 

……この章のクロ指名で赤松楓以外の全員を選んだ人、僕以外にもいると思うんです。だってまさか、そんな、ここでこのトリックやる!?ある意味世界で一番有名な某女史の某トリックを!?ひねくれすぎだろ!?!?

 

ひねくれすぎてました。

そうだった……これはこういうシリーズなんだった……忘れてた……。完敗である。

 

でも、説明されるとものすごくきちんと伏線が張られていて、その性質とは裏腹にものすごく綺麗な論理展開が行われているんですね。普通では絶対に考えない過程までをも一つ一つ潰していくことによって、大胆不敵なトリックが浮き彫りになっていく。緻密かつアクロバティック。エラリークイーンとアガサクリスティの合作のような……。

 

まあ、その仕掛け方自体があまりにも悪趣味なんですけどね。ゲームに手を伸ばしたプレイヤーを容赦なく崖から突き落とすような。目隠ししたプレイヤー「道が続いてるよ」とそそのかし、まるでジェリーを追いかけるトムキャットのように空中を歩かせる。そして後戻りできないところまで歩かせた時、目隠しを外すわけだけど、その外し方がえげつない。だって、これは小説ではなくゲームだから、自分で選択しない限り、永遠に先には進めないのです。つまり、先ほどの例えで言えば、プレイヤーの目隠しを「外す」のではなく、プレイヤー自身に「外させる」わけですね。それに気づいた時にはもう遅い。自身が虚空にいるとわかった以上、空中を歩くことはできない。このゲームはノベルゲーだけど、マルチエンディングではないのです。

 

こうして、赤松楓としてのプレイヤーは真っ逆さまに落下し、すぐさま視点変更、真の主人公である最原終一へと「転生」し、何事もなかったかのように物語は続く……。

 

「もしわしの味方になれば、世界の半分をやろう」どころじゃない、究極の選択(「はい」か「Yes」)。これがダンガンロンパV3の第1章なのである。ね、悪趣味でしょ?

 

悪趣味指数:

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

コメント:

正直製作陣、これがやりたくてこのゲーム作っただろ。

 

~その2へ続く~